【書籍】復刻・松岡洋右「興亞の大業」

イギリスの東洋侵略

 

・・・イギリス人の東洋発展の歴史は何に始まったかといえば、西インドから金銀を積んで帰るスペイン船の襲撃と掠奪に始まっているのである。海賊や、それと前後して行われた奴隷狩りがもたらした、血の滲んだ巨額の金が、イギリスをヨーロッパ1の大国にし、東インド会社を設立し、あくなき征服の魔の手を東洋に伸ばしていける元になったのである。

 

インドにおけるイギリスの制服史は気の弱い日本人の目を覆わしめせずにはおかないほど、悪虐の限りを尽くしたものであった。嘘偽りで暴力を働き、老若男女を選ばない大虐殺と強姦と、大掠奪の連続である。

 

抑々イギリス人の東洋發展の歷史は何に始まつたかと謂へば、西印度から金銀を積んで歸へる西班牙船の襲繫と掠奪に始つて居るのである。此の海賊や夫れと前後して行はれた奴隷狩りの齎らした、血のにじむだ巨億の金がイギリスを歐洲第一の富國たらしめ、東印度會社を設立せしめ、飽くなき征服の魔手を東洋に伸べしめるもとでとなつたのである。印度に於けるイギリスの征服史は氣の弱い日本人の目を蔽はしめせずには置かない程、悪虐の限りを盡したものであつた。隱謀譎詐と、老幼を選ばざる大虐殺と強姦と、大掠奪の連續である。

 
 

「満洲国を日本化しようとする意図はない」

 

・・・興亜の大業が満洲建国の延長であるという私の主張に対して、満洲にいる日本人に誤解のないように念を入れて言っておかなければならないことは、日本は満洲国を日本化し、中国を満洲国化しようとするような意図は持っていないということである。

 

興亞の大業が滿洲建國の延長であるとの私の主張に對して、隣邦人の誤解のないやうに特に念を入れて謂つて置かねばならぬことは、日本は滿洲國を日本化し支那を滿洲國化せんとするが如き意圖を有するものではないと謂ふことである。

 
 

「国際連盟脱退の真実」

 

・・・私は日本の首席全権としてジュネーブに行き、そして国民諸君が脱退しろとおっしゃるから「はいそうします」と言って引揚げて来ただけである。

 

私は日本の首席全權としてジユネーヴに使した、そして國民諸君が脱退せろと仰言るから「はいさうします」と謂つて引揚げて來たゞけである。

 
 

「満鉄は収奪目的ではない」

 

・・・多くの人が普通知らないことがある。それは満鉄がペイするなどと思った人は日本国中元老をはじめ一人もいなかったということである。

 

多くの人が普通知らないことがある。それは滿鐵がペイするなぞと思つた人は日本國中元老始め一人もなかつたと謂ふことである。

 
 

「満洲における日本人の被害」

 

・・・事実上世界も認めていた南満洲の中心である奉天においてすら、白昼小学校に通う我が児童はしばしば殴られたり、石を投げられたり、酷い目に遭わされた。(中略)中国側の横暴は実に言語に絶していた。

 

事實上世界も亦左樣に認めてた南滿洲の中心である奉天に於てすら白畫小學校に通ふ我が兒童は屢々擲られたり、石を投げられたり、非道い目に遭はされた。(中略)支那側の横暴は實に言語に絶して居た。

 
 

「2600年続く万世一系の皇室」

 

・・・古い文化を誇りうる国はある。けれども皇統連綿として二千六百年の間、一君万民の誇りを繫いできた国が他にどこにあるだろうか。

 

古い文化を誇り得る國はある。けれども皇統連綿として二千六百年の間、一君萬民の誇りを繫ぎ得た國が何處にあるか。

 
 

「日本はずっと自衛のために戦ってきた」

 

・・・ただ、東アジアを西欧の侵略から救うのだという、絶対的な愛他主義の立場から、征韓論を唱え、日清、日露の両戦争を戦い、満洲事変に対処し、国際連盟を脱退し、満洲建国を企てたというわけではない。私はそんな偽善的な詭弁で日本の立場や行動を正当化し、また理想化しようとは思わない。

 

だが、明治維新以来、日本が、東洋諸民族にそのように影響を与え、東アジア安定のために戦い続けてきたということは事実である。だから、なぜ日本がこのような道を辿ってきたかといえば、それは、世界特に東アジアの客観的情勢から言っても、当時の日本国民の自覚から言っても、前述のように、東アジアの安定確保することは日本を守ることであり、日本を守ることは東アジアを守ることであって、大和民族の興廃、存亡と、東アジア諸民族のそれとは完全に一致していたからである。

 

只管、東亞を西歐の侵略から救ふと謂ふことのみを以て自己の責任とし、絶對の愛他主義の立場から、征韓論を唱へ、日淸、日露の兩役を戰ひ、滿洲事變に處し、聯盟脱退を敢行し、滿洲建國の大業を企てたと謂ふのではない。私は左樣な僞善的な詭辯を以て、強ひて日本の立場や行動を合理化し、又理想化しようとは思はない。だが、明治維新以來、日本が、東洋諸民族に其の處を得せしむることと、東亞安定との爲に戰ひ續けて來たと謂ふことは事實である。而して、何故日本が斯かる道を辿つたかと謂へば、夫れは、世界特に東亞の客觀的情勢から謂つても、當時に於ける日本國民の自覺から謂つても、前述の如く、東亞の安定を確保することは日本を守ることであり、日本を守ることは東亞を護ることであつて、大和民族の興廢、存亡と、東亞諸民族のそれとは完全に一致して居たからである。

 

GHQが焚書をしてまで戦前の日本を消したかったワケ

 

これらは、GHQが知られたくなかったと考えられる節のほんの一部にすぎません。今は戦後75年です。当時のことを知っている人は少なくなりました。

 

当時の私たちのおじいちゃんや先人たちが何を考えていたのかを直接聞ける機会は少なくなりました。

 

そして私たちは焚書をされたことで当時の日本がどんな状況でなぜ、戦争へと進んでいったのか、先人たちは日本をどんな風に守りたかったのか、いまの日本人に何を残したかったのか、当時はどんな苦難があったのかを知ることは難しくなりました。それこそがアメリカ、GHQが意図していたことでした…

 

なぜ昭和の日本人は「アジアの代表」として戦争をしたのか?

 

本書で松岡洋右は次のように述べています。

 

世界人口のわずかに44%を占めるに過ぎない今日の白人種が過去4世紀の間に、アメリカ・オーストラリア・オセアニア・アフリカ、そしてアジアの大部分を征服し、現地民をほとんど奴隷化して、地球の71%を支配下に置いている事実を、我々はどうして座視しうるであろうか。—— 松岡洋右

果たしてこれは今日言われているように、自分たちの侵略を正当化しようとした、威勢が良いだけのキャッチフレーズだったのでしょうか?

 

産経新聞「正論」元編集長の上島嘉郎さんは本書の解説文の最後をこう締めくくっています。

 

戦前と戦後との間で断ち切られたものは何か。『興亜の大業』を今日読むことは、歴史認識の問題だけでなく、日本人を日本人たらしめていたものの喪失に否応もなく気づかされることです。

ぜひ、戦前の日本人の“普通の感覚”をこの本で知ってください。今回お届けする本は全部で5章で構成されています。その詳細はこちら、、、

目次

第1章 大陸日本への道

〜アメリカの経済制裁が大チャンスである理由


昭和16年…日本はアメリカの経済制裁を受け始めました。それまで鉄などの重工業をアメリカに依存していた日本は今こそ、大発展した満洲を中心として自分たちでやる大チャンスだと松岡洋右は言います。このメッセージは近年、中国依存を高め、昨今のコロナ騒ぎで痛い目を見た日本の現状を考えるヒントになることでしょう…

・「思想革新と日本精神」なぜ今こそ、大和民族の未曾有の大チャンスなのか?

・「豊かな日本、貧しいソ連」英米が見誤った日本の経済的実力

・「支那事変と対日禁輸」元満鉄総裁だから分かる、日本の重工業が最高の成長産業である理由

・「ジュネーブで感じた白人のウソ」“国際連盟なんかで世界平和を維持しようとするのは空虚な夢に過ぎない”

・「大東亜共栄圏と重工業」絶対に日本でインフレが起こらないワケ

・「満蒙を以て日本の生命線なり」松岡が満洲を重要視した3つの理由

・「大日本主義 vs 島国日本主義」なぜアメリカの人類学者は日本を称賛したのか?

・「大和民族と皇道文化」満洲事変以後の日本を米国人が評価する理由

 

第2章 開拓者としての大和民族

〜「極東の小国」という嘘


日本人でありながらタイで王になった人がいることを知っていますか?松岡洋右曰く、歴史を紐解けば明らかなように、日本人はもともと外に拡張し、そこで現地民とうまく融和していく性質を持っているというのです。それが分かれば、「東洋の小さな島国」というイメージが間違っているものであるということがよくわかるはずです…


・鎖国以前、東南アジア地域にはたくさんの日本人町があったことを知っていますか?

・ポルトガル人の種子島漂着が、本当は日本人に誘導されたものだったということを知っていますか?

・「神武天皇と開拓精神」鎖国以前、なぜ日本人町が東南アジア各地に存在したのか?

・「豊臣秀吉と山田長政」もしも鎖国しなければ、東南アジアが欧米に支配されることもなかった?

・「明治維新がもたらした西洋かぶれ」欧米由来の自由主義、個人主義、社会主義が日本に合わないワケ
・「自惚れた中国、旺盛な日本」欧米の批評家たちが異口同音に唱える日本人の意外な性質

・「百戦不敗の日本と大敗北のフランス」敗北主義に侵された2カ国の運命を分けた秘密

・「満洲国建国」国連脱退を望んだのは日本国民自身だった?

・「日本を救った神風:和気清麻呂と北条時宗」王道と皇道の違いとは?

・「満鉄総裁就任」本土×2.5倍の満洲の治安をすぐに安定させた日本の底力

・「上海事変」イギリス人が仰天した日本人の活躍

・「Man Behind the Gun」なぜ大和民族は米英以上の偉業を成し遂げられたのか?

・「東郷平八郎と和気清麻呂の奇跡」満洲の発展を日本のインテリが理解できないワケ

・「満洲建設と八紘一宇」大事業には武田信玄よりも上杉謙信の方が向いている理由


第3章 大陸の先驅者滿鐵

〜なぜ戦前の日本人にとって満洲が大切だったのか?

 

混迷する支那事変。そこで東京のエリートの中でにわかに沸き起こったのが「満洲放棄論」でした…しかし、元満鉄総裁である松岡洋右は彼らを一刀両断します。そもそも満洲は先人たちが国家安全保障の観点から、日清日露戦争を経て、文字通り命がけで国を防衛した結果、手に入れた土地です。つまり、満洲を放棄することはまた明治の先人が戦った危機の時代に逆戻りするということです。この章を読めば、「国を守る」ということがどれだけ尊いものなのか、理解できることでしょう…そして、現代人が誤解している「日清戦争〜満洲国建国が侵略であった」というのが嘘であるということが理解できることでしょう…


・「パイオニア・スピリット」“満鉄は社員だけのものではない”

・「児玉源太郎」大赤字!井上馨の反対を押し切って満鉄建設を構想したワケ

・「鉄道王・ハリマン」財政難の日本と満洲権益を奪取したいアメリカ…日米で一致する思惑

・「小村寿太郎 vs ハリマン」日米共同経営は必ず失敗に終わったと言える理由

・「緊縮派とのバトル」満鉄は採算の合う経済機関ではない、国防第一線である

・「張学良と満洲放棄論」日本人の美徳が世界に通用しないワケ

・「満洲の地政学」東京のインテリに見えていない大局観

・「後藤新平の満鉄魂」日本人が忘れた大事業の精神

・「台湾民政長官の実績」なぜ後藤新平は初代満鉄総裁就任を頑なに断ったのか?

・「満鉄の急成長」2億、8億、31億…白人が羨む規模拡大ができたワケ

・「ユナイテッド・スティール vs 満鉄」世界最大のアメリカ鉄道会社が日本に勝てない理由

・「五族共和という理念」征服欲・侵略主義は邪道…誤解された八紘一宇の真実


第4章 興亞の大業

〜皇国日本にしかできないこと


この帝国主義の時代はまさに「白人にあらざれば人間にあらず」という時代でした。欧米列強に世界を安定させることができないことは一目瞭然でした。松岡洋右は日本にこそ世界を安定させる責務があり、まずは東アジアから日本の影響力を拡大していこうと考えていました。この章を読めば、今日「軍国主義者」と罵られている松岡洋右こそ、世界の平和を強く願っていたことがよくわかるはずです…


・「日本書紀に見る建国の精神」アメリカ人社会学者が発見した民族中心主義とは?

・「帝国主義のイギリスと平和主義の日本」“大和民族は侵略や征服ということを知らない”

・「英国の東洋侵略史」“アングロサクソンの世界政策は終始一貫して外道であり、畜生道である”

・「日清戦争という大業」暴露された老大国支那の無力・「連戦連勝の日本軍」外国記者“日本軍の行動は、まるで時計の機械のようだ”

・「義和団事件」白人の横暴から支那を救った日本人

・「満洲防衛戦」国防力なくして国家なし…戦後日本人が忘れさせられたこと

・「第二次欧州大戦」国際政治の舞台で平和主義が役に立たない理由

・「WWⅡと世界経済ブロック化」日本とナチスドイツに足りないアウタルキーの思想とは?

・「松岡洋右の告白」“満洲・支那を日本化する意図はない”

・「物質主義に堕した西洋科学文明」なぜ西洋人は戦争をやめないのか?

・「英仏の政治体制」自由主義を掲げるフランスがドイツに突破されたワケ

・「日中外交史」支那人の自大主義との付き合い方

・「東亜新秩序構想」欧米資本主義が必ず失敗する理由


第5章 み民吾れ

〜天皇という唯一無二の存在


ヒトラー、ムッソリーニ、スターリン…類まれなリーダーシップを発揮する世界の指導者たちすらも及ばない、万世一系の皇室を頂く日本の存在とは一体何なのか? 戦前の日本人が天皇をどのように考えていたのかを知っていただけることでしょう。

 

・「神皇正統記と戦争」日本、支那、イギリス…なぜ人は祖国のために死ねるのか?

・「皇室を頂く日本、皇帝に怯えるナチス」ドイツ人老判事が支那事変へ向かう兵隊の姿に感銘を受けた理由

・「軍艦榛名と陛下の大御心」鹿児島湾で起こった奇跡

・「天皇と一代の英雄」天下無敵のナチスドイツが最期は敗北する理由

・「吉田松陰の講孟余話」なぜ世界に天皇陛下の代わりはいないのか?

・「満鉄社員の誇り」伝統を軽視する国が滅びるワケ