世界の名著シングルコレクション小林秀雄『信ずることと知ること』

¥ 10,780
著作・販売株式会社経営科学出版


小林秀雄(1902–1983)は、日本を代表する文芸評論家です。文学だけでなく、歴史・音楽・思想にまで及ぶ深い批評で知られ、「考えるとはどういうことか」を日本人に突きつけ続けました。理屈を積み重ねるよりも、自分の実感を信じて作品と向き合う姿勢は、多くの読者や研究者に強い影響を与えました。
『信ずることと知ること』は、人間が世界をどう理解しているのかを根本から問い直した評論です。小林は、「知ること」とは知識や情報を集めることだと思われがちだが、それだけでは本当の理解にはならないと言います。人はまず何かを「信じる」ことで初めて物事と深く関わり、その中で本当の意味で「知る」ことができる、というのです。
この文章が書かれた背景には、戦前・戦後を通じて広まった「理屈ですべてを説明できる」という考え方への疑問があります。小林は、科学的に正しい説明があっても、人が感動したり行動したりする理由は、必ずしも理屈だけでは説明できないと考えました。文学や芸術は、その「信じる心」の力を教えてくれるものだと述べています。
『信ずることと知ること』は、勉強や情報収集に追われがちな現代の私たちに、「本当にわかったと言えるとはどういうことか」を考えさせてくれる一篇です。今なお、思考の原点に立ち返らせてくれる文章として高く評価されています。