世界の名著シングルコレクション福田恒存『人間・この劇的なるもの』

¥ 10,780
著作・販売株式会社経営科学出版


福田恒存(1912–1994)は、戦後日本を代表する文芸評論家・翻訳家です。シェイクスピアの翻訳で高い評価を受けただけでなく、日本語のあり方や人間観について鋭い批評を行いました。時代の流行や空気に流されず、「人間とは何か」「言葉とは何か」を徹底して問い続けた姿勢は、多くの知識人に影響を与えました。
『人間・この劇的なるもの』は、人間の生き方を「劇(ドラマ)」として捉え直す評論集です。福田は、人間の人生は合理的に整理できるものではなく、矛盾や失敗、葛藤に満ちた“劇的なもの”だと考えました。人は善悪や正解だけで生きているのではなく、迷いながら選択し、時に間違える存在だというのです。
この本が書かれた背景には、戦後日本で広まった「合理的で明るい人間像」への疑問があります。福田は、そうした考え方が人間の弱さや悲しみを切り捨ててしまうと批判しました。悲劇や苦しみを含めてこそ人間は人間であり、文学や演劇はそれを深く描いてきたと説きます。
『人間・この劇的なるもの』は、効率や正しさばかりが重視されがちな現代において、「人間らしさとは何か」を考え直す手がかりを与えてくれる一冊です。今なお、人生や文化を深く考えたい人に読み継がれています。