
2013年、ある靴下メーカーがソックスの新商品をリリースしました。その新商品の名前は「三陰交をあたためるソックス」。足首にあるツボの三陰交を温める、冷え対策靴下として大学や素材メーカーと共同開発。今までよりもずっとあたたかい靴下を実現しました。担当者は語ります。
「機能には自信があった」
結果、どうなったか?
いくつもの靴下が並ぶ中で、「三陰交をあたためるソックス」はユーザーに選んでもらうことができませんでした。商品の機能性を伝えることを最優先にしてしまっていたからです。
あなたが実際に靴下を選ぶときに何を基準に選んでいるでしょうか?そこまで深くは考えていないのではないでしょうか?なんとなく目についた商品を買っているのではないでしょうか?
これは、世間一般のほとんどの商品にも当てはまることです。つまり、世の中のほとんどの商品は、中身をちゃんと吟味される前に最初の印象で買うか買わないか判断されていると言うことです。
商品の内容と売り方は前と同じなのに...
反応を上げるためには、顧客に届く「パワフル」なメッセージが必要です。ところが、そのパワフルなメッセージを意識しないために、ほとんどの人が、集客で苦労しているのです。そのメッセージとは、『ネーミング』です。
例えば、あなたにとって最も意味のある言葉、最も感情と結びつく言葉は、「あなたの名前」ですよね。それと同じで、商品やサービスをマーケティングする中で、あなたが一番使う言葉は、「あなたの商品の名前」です。つまり、あなたの商品の名前はあなたの収入に直結する、最もパワフルなものです。
ですから、あなたのビジネス、商品やサービスに優れたネーミングをつけることは、本当に大きなレバレッジ効果を生み出します。もちろん、これが100%全てとは言いません。ですが、この「ネーミング」を改善するだけで、多くの商品がその売上を大きく変えているのです。
実際に、先ほどの「三陰交をあたためるソックス」は「まるでこたつソックス」とネーミングを変えたことで完売が続出し、17倍以上の売上になりました。
それ以外にも例えば、、、
◆伊藤園の『お~いお茶』
『お~いお茶』 は元々は缶入り緑茶『缶入り煎茶』と言うネーミングだった。だが、当時「お茶はタダで飲むもの」と言う意識が強かった。さらには若者の中で日本茶と聞いて「煎茶」を思い浮かべる人がほとんどおらず、商品価値の見直しを図った。
その後『お~いお茶』へとネーミングを変更し、イメージも刷新したことで、売上が大幅に増加。20年以上緑茶のシェアNo.1へ。
◆レナウンの『通勤快足』
紳士用の抗菌防臭靴下の『通勤快足』は元々の名前は『フレッシュライフ』。初年度は3億円を売り上げたものの、売上が徐々に下がる。
そんな中で、再起をかけて『通勤快足』に名前を変更。すると売り上げは10億円を超え、翌年度は45億円まで売り上げた。
◆ネピアの『鼻セレブ』
『モイスチャーティッシュ』は、利用者からは好評なものの、保湿ティッシュが一般的ではなかった時代、消費者に手にとってもらうことが難しかった。
そこで、『鼻セレブ』に名前を変え、デザインも名前に合わせて、やわらかいイメージのうさぎなどを用いることで売上が10倍以上になった。
ネーミングは、起業家、事業主、マーケターなら、誰もが一度は経験しなくてはならない作業です。
商品を開発したり、事業を立ち上げたり、ブランドを築いたりするのにも、名前がないと成り立たないですよね?なぜなら、人は物事の名前があることで、初めて認識できるし、その名前からイメージやメッセージを受け取っているからです。
でも、ほとんどの人々は、「ネーミング」に対してあまり深く考えていないと言うのが実情だと思います。ネーミングに関する書籍やセミナーはほとんどありませんし、それが重要だと思っている人もほとんどいないでしょう。
ただ、だからこそ、ネーミングに拘ることがライバルとの差をつけるチャンスになっているのです。

ジェレミー・ミラーは、ブランド戦略家、作家、講演家、思想家、そしてブランド構築代理店、Sticky Branding(スティッキー・ブランディング)の創業者である。
ジェレミーがブランディングに携わるようになった経緯は少し特殊で、必要に迫られた結果だった。実家の家業を継ぐべく入社するも、業績悪化が止まらず、会社の経営状況、そして業界全体の状況を入念に見直すことを迫られた。それで明らかになった業績悪化の原因は、営業マンでもマーケティング手法でもなく、ブランディングだった。顧客に同業他社との違いを、見分けてもらえていなかったのだ。
この洞察がきっかけとなり、ジェレミーは、自社事業と、ブランディング、ポジショニングの見直しを行う。戦略は功を奏し、会社は1年足らずで危機を脱し、そのまま成長モードに転じた。そして2013年、ジェレミーは、実家の事業を売却して、現在の仕事である、ブランド構築に専念するようになる。
この家業再生の経験をきっかけに、ジェレミーの10年におよぶ研究が始まる。人々に認知され、憶えてもらえるブランドがどのように築かれたかを研究した。彼の率いるブランディング会社、Sticky Branding のチームは、何十もの業種の数百におよぶ企業に対し、分析、聞き取り調査を行い、企業がどのように Sticky Brand(訳注:「脳裏に焼きつくブランド」を意味する、著者の登録商標)を育てているのかを解明した。
ジェレミーの最初の著書『Sticky Branding(仮邦題:脳裏に焼きつくブランディング)』は、中小企業のためのブランディングの戦略本で、競合他社に立ちまさり、顧客を魅了し、すばらしいブランドを築く方法を12.5の原則にまとめている。カナダの『グローブ・アンド・メール』紙の選ぶベストセラーリストで、オプラ・ウィンフリー(全米で最も息が長く、人気の高かったトーク番組司会者)の著書をしのいで1位に輝いた。