Duct Tape Marketing 小さな会社のマーケティング実践ガイド



今から10年ほど前、一人の女性が歯科医院を開業しました。
彼女は、幼い頃から歯学に興味があり、大学では歯学を専攻。その後は、大学院や数多くの学習プログラムを経て、晴れて独立。患者が自信を持って微笑み、よりきれいな呼吸をし、より健康的な生活を送れるよう、様々なサービスを提供していました。
彼女の優れた技術と丁寧な対応は顧客の間で評判になり、開業からしばらくは、お客さんに困ることはありませんでした。
しかしあるとき、問題が発生します。それは、歯医者を移転しないといけなくなったのです。歯医者に来るメイン顧客は、その地域に住む人たち。移転することは、地元客がいなくなってしまうことを意味します。
それは彼女も例外ではありませんでした。元々は、十分なくらいにお客さんで賑わっていました。でも、移転後お客さんの数は激減。元いたお客さんの一部は移転後も来てくれましたが、その大半は来なくなってしまったのです…
彼女はそう思い、広告での集客を始めました。治療プログラムの詳細や自身の経歴、歯医者の情報などを記載した広告を配り始めますが…あまり効果はでませんでした。広告費だけが増えていくけど、お客さんはほとんど来なかったのです…
「これからどうしようか?」「どうしたらお客さんが来てくれるか?」
必死に考えましたが、答えは見つかりませんでした。お店は閑散とした状態が続き、悪い月には、月10名しか訪れないなんてこともありました。移転後、売上としても停滞してしまったんです。そこで彼女は、コンサルタントに相談してみました。そこで”あること”を教えられ実行すると…。
連日、注文の電話が鳴り止まなくなったのです。小さな歯医者ですので、電話対応が追いつかない…!ある月には、月300件以上の電話が入り、毎日、治療と顧客対応に追われるようになりました。いい意味で多忙の生活を送るようになったのです。
彼女は、一体何をしたのか?それは...
・何か画期的な新しいサービスを始めたわけではありません。
・値引きやクーポンなど、特別なキャンペーンを行ったわけでもありません。
・メディアに紹介されるなど、偶然チャンスが舞い込んできたわけでもないのです。
それなのに、お店がお客さんで溢れかえるようになったのです。これがどんな方法か?をお伝えする前に、集客の際に多くの人が犯してしまう間違いについてお話しします。
それは、集客の施策のみに集中してしまう、という間違いです。例えば、広告で集客するなら「どんな広告がいいか?」とか「どうしたら反応されるか?」というように、広告だけに集中してしまうのです。
これがなぜ間違いなのか?というと、広告などで集まるのは、「今すぐ買う人」だから。今すぐ買う人というのは、今商品を探している人たちのことを指します。彼らは、クーポンや値引きに敏感に反応するので、広告などによって一時的に集客をすることはできますが…
しかしその分、価格や単価が安くなる上に、リピートすることがほとんどありません。これでは、いつまで経っても集客数は安定しませんし、利益につながらない、なんてことが起きてしまうんです。
では、どうすればいいのか?というと、「今すぐ買う人」ではなくて「購入見込みのある人」を集めておく必要があります。今すぐきてくれるわけではないけど、必要性を感じた時に来てくれたり、困った時に商品を案内したら購入してくれる。そんな人たちを集めておけばいいのです。
ポイントは、集客前の仕組みにあります。そもそも顧客が購入した後にリピートするかどうかは、購入の前から決まっています。質の高い顧客を集めれば、セールスしなくても購入したり、何度もリピートしてくれますが、質の悪い顧客だと1度きりで終わってしまいます。
集客の前に、いかに質の高い人が集まるか?という仕組みを作っておく。そして、購入に繋げればいいのです。スモールビジネスでは特に、広告に割ける予算が多くないので、そういった仕組みを持っておくのが大事になってきます。
その仕組みを作ることができたら、質の高い顧客を作ることができるでしょう。彼らはあなたのことを事前に知っているので、必要になった時に商品を購入してくれます。
イメージは、あなたの知人に商品を案内するようなもの。あなたことを知っている人であれば、ほとんどセールスしなくても商品を購入してくれますし、商品が気に入れば何度もリピートしてくれます。友人に口コミで紹介してくれたりもするでしょう。
最初にお伝えした彼女も、集客前の仕組みを作ったことで月300件以上の注文を受け、1年後には売上4倍になったと言います。
では、具体的にどうすればいいのか?それが本書「Duct Tape Marketing」の内容です。
ダクトテープとは、日本でいうところのガムテープのようなもの。ガムテープよりも粘着力が強いテープを指します。
アメリカでは、一家に1個持っているほど浸透しており、その特徴としては、安価で、便利で、強力。
ガムテープのように段ボールに梱包することもできますし、ホースやダクトといった水回りの補強にも役立ち、テントの補修など屋外でも使える優れものです。
著者は自身のマーケティングの仕組みを、安価で、便利で、強力な「ダクトテープ」と例えており、起業の神様として名高いマイケル・ガーバーも**「ダクトテープ」というタイトルは、本書の特徴をまさに表している。便利で、驚くほどスマートで、ものすごく実用的」**と話します。

ジョン・ヤンツは、「ダクトテープ・マーケティング」のオーナーであり、同システムの創設者である。
スモールビジネス向けのマーケティングの専門家として知られ、スモールビジネスの経営者や個人事業主に対するコーチングとコンサルティングで30年以上の実績があり、ビジネスを成長させるシンプルかつ低コストのメソッドを伝授している。
スモールビジネス向けマーケティングのブロガーとしても受賞歴があり、インターネットをマーケティングのツールとして活用するコツを発信している。
彼の公式ブログは『フォーブス』誌上で、スモールビジネス・マーケティング関連で最高のブログとして紹介された。
ポッドキャストはiTunesでトップ10入りし、『FastCompany』誌も「必聴」と述べている。
ヤンツはソートリーダーとしても活躍し、スモールビジネス向けに実用的なマーケティングを教える講演やワークショップが好評を博している。