
「どうすれば、この商品が売れるようになるのか…?」
そう悩むのは、とあるビールブランドの商品責任者になった、一人の男。
ビール業界といえば、ほとんど商品に違いがなく、似たり寄ったりの商品で溢れた、競争の激しい業界です。
スーパーやコンビニに行けば、周りには他のブランドのビールが並んでいますし、目隠ししてビールを飲むと、誰も味の違いを認識できなかったと言います。
そのため、膨大なマーケティング費用を使っているのにも関わらず、どこも市場シェアを伸ばせずに、業界全体が停滞していたと言います。そして、そんな中、売上を伸ばすように任せられたのです。
男は考えました。
ビールの味はほとんど同じで、どこも同じようなテレビCMを行ってる中、どうしたら、横ばいの売上を伸ばすことができるのか?どうすれば他のブランドではなく、自分たちのビールを選んでもらえるのか?毎日、必死になって考えました。
そして、ビールと似たような業界に目を向けます。つまり、洗剤やシャンプー、ペーパータオルといった、商品でほとんど差がつかない業界の成功事例が、ビールでも適用できるのではないか?そう考えたのです。
どんな方法がビール業界でうまく行くのか?どうすれば、他の成功事例を転用できるのか?**1年かけて考え抜きました。その数なんと、1000個以上。**毎日3つ以上アイデアを振り絞りました。
そして、試行錯誤して大半がボツになる中で、ついに「これだ!」と思えるアイデアにたどり着いたのです。経営陣にこの提案をした時は「ついに気が狂ったのか?」と思われたのですが…
いざそのアイデアを実行すると、、、たった1年で売上が100億円もアップ!業界が停滞してる中で、唯一成長するブランドになったのです。では、男は一体、何をしたのでしょうか?
男がやったこと。それは、ビールに「買う理由」をつくったのです。具体的には、ビール缶に貼るフィルムの色を青くしたのです。どういうことか?というと…
ビール缶には普通、缶の腐食を防ぐため、内側に透明なフィルムが貼られているんです。そしてこれは、業界では当たり前の話ですが、お客さんはフィルムの存在について知ることはありませんでした。
そこで彼は、この透明なフィルムを青色に変更し、その存在について次のように伝えることにしました。
「爽快感あふれる冷たいビールです。なぜなら、青フィルム使ってるから!」
もちろん、同じ冷蔵庫で冷やしていたら、他のビールと温度は変わりません。なので、ただ「爽快感あふれる冷たいビールです」といっても、他の商品との違いが見出せず、その商品を買う理由にはなりませんでした。
一方で、フィルムを青色にして冷たいことをアピールすることで、お客さんが「青フィルムが使われてる」と認識するようになりました。すると、**「爽快感あふれる冷たいビールならこれ。なぜなら、青フィルムが使われているから!」と、そのビールじゃないといけない理由、つまり「買う理由」**ができたのです。
その結果、お客さんは、競合のビールではなく、そのブランドを選ぶようになり、わずか1年で100億円の売上を増やすことに成功。停滞したビール業界の中で、唯一成長するブランドになったのです。男はこう話します。
「商品自体は、競合と変わり映えのない1商品だ。しかし、私たちのビールを『買う理由』を付け加えたことにより、売上を伸ばすことができた」
少し想像して欲しいのですが、私たちが買い物をする時って、無意識にその商品を「買う理由」を探しているのではないでしょうか?
特に高価なものの買い物はなおさらで、自分を説得したり、家族を納得させるための「理由」を探した経験が、きっとあなたにもあると思います。
例えば、高価なジャケットを買った理由なら、
・ずっと使えるから、
・動画で着てたら印象が変わるから、・生地がしっかりしてるから、
・形が綺麗だから、・着心地がいいから、・一流のブランドだから、
・通常より安くてお得だったから、・イタリアのメーカーだから、
・部下にちゃんとしてると見られるから、・身につけるとテンションが上がるから......
こうやって、人は買い物をする時に、無意識に「買う理由」を探したり、時には自分で作り出しています。
「買う理由」が多ければ多いほど、「この商品じゃないといけない」「この商品が欲しい」と納得するので、自然と購入されるようになります。そのため「なぜこの商品を買った方がいいのか?」つまり「買う理由」を、お客さんに任せではなく、売り手のあなたが作って、伝えてあげる必要があるのです。
実際、人気のブランド・選ばれ続ける商品を見てみると…
**・ボルボ「世界一安全な車」**として、2023年に販売台数の新記録を出していますし、
**・ドミノピザ「30分以内に、熱々のピザを届ける」**として、世界一のピザチェーンになっていますし、
**・アイボリー石鹸「純度99.44%の高品質な石鹸」**として、140年以上続くブランドになっています。
このように、うまくいっている企業は必ずといっていいほど「買う理由」をつくっています。
「マーケティングとは、消費者に『買う理由』を提案することである」
20世紀の三大広告人の1人と言われるコカ・コーラの元CMO、セルジオ・ジーマンがこう話すように、私たち売り手が「なぜこの商品を買うべきなのか」を明確に伝えることで、お客さんは自然とあなたの商品を購入するようになるでしょう。
では、具体的にどうやって「買う理由」を作れば良いのか?それが書籍**『「買う理由」の作り方 どうしても欲しいと思わせる17のアイデア』**に書かれています。

ジェリー・オブライエン
P&Gでキャリアをスタート…これまで1000億円以上を売ってきたマーケター
P&Gでキャリアをスタートさせ、1000,1500,2000億円企業のマーケティング責任者として、ビール、石鹸、ハンバーガーといった、差別化しづらい商品を1000億円以上売ってきました。
そんな彼は、これまでのキャリア全てをかけて、「なぜ人は、あの商品ではなく、この商品を買うのか?」「特定の商品を選ぶよう相手を誘導するためには、どうすればいいか?」について考え続けてきた、といいます。
そんな彼が、これまでの経験に加え、ハーバード大学での研究・ノーベル賞を受賞した研究など20の研究論文をもとに開発したのが、本書で紹介されているフレームワークです。
このフレームワークは、製造業、ソフトウェア会社、建設業、銀行、食品加工会社など、さまざまな業界で成果が上がっている。
こちらのフレームワークを学べるワークショップは、25万円もするのですが、誰でも手軽に学べるよう、2023年10月にアメリカで書籍化されました。それが書籍『「買う理由」の作り方』です。